【アート・建築】ジョージア・オキーフとふたつの家ゴーストランチとアビキュー_土と空と木とくらし、そして絵画。

ジョージア・オキーフとふたつの家ゴーストランチとアビキュー /ラインズ&ロペス (著), 内藤里永子 (翻訳)
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家の佇まい、絵画のボワっとした感じ、暮らし方、筋が通った感じがする。

ジョージア・オキーフについて

家のこと

ジョージア・オキーフ：wikiより
はじめに
書籍

ジョージア・オキーフ：wikiより

ジョージア・オキーフ（Georgia O’Keeffe 、1887年11月15日 – 1986年3月6日）は、20世紀のアメリカを代表する女性画家。夫は写真家のアルフレッド・スティーグリッツ。

オキーフは70年にも及ぶ長い画歴のなかで、ほとんど風景、花、そして動物の骨だけをテーマとして描きつづけた。なかでもオキーフの名を一躍有名にした画面いっぱいに拡大して花の絵を描いた作品群や、牛の頭蓋骨をイコンのように威厳を込めて描いた作品群がよく知られる。またアメリカで（世界的にみても）抽象画を描きはじめた最初期の画家の一人でもあり、基本的には具象的モチーフにこだわりつつも、時おり抽象画も手がけ、精密派の画家として生涯にわたって抽象への関心を抱き続けた。

オキーフはウィスコンシン州の農家に生まれた。父はアイルランド系、母はハンガリーからの移民。7人兄弟の2番目の子供であり長女だった。

マディソンで高校時代をすごした後にシカゴ美術館附属美術大学で絵画を学び、更にニューヨークのアート・スチューデンツ・リーグ・オブ・ニューヨークに入学、ウィリアム・メリット・チェイスに師事した。ニューヨーク滞在中に将来の夫となる写真家のアルフレッド・スティーグリッツに出会っている。

1908年、シカゴに戻りイラストレーターとして働いたが、1910年、病気が元で家族がいたバージニア州に移る。オキーフも一時、絵画から離れていたがバージニア大学の夏期講座に出席し、アーサー・ウェズリー・ダウに出会ったことがきっかけで再び描き始めるようになった。

素材などについて

はじめに

ここはわたしの居場所、心が静かです。
わたしの皮膚がここの土に近いと感じている。
きのう夜中に「赤い丘」まで歩いたときなど、そういう感じがしたの。
猫が、子犬のようにわたしの後をついてきていました。
―ジョージア・オキーフ

ジョージア・オキーフ(1887-1986)は、生涯の後半三十数年の歳月をニューメキシコで暮らした。それ以前の10年もこの地を訪れていた。そしてニューメキシコに終の住処を見出した。オキーフのふたつの家(ゴーストランチの家とアビキューの家)とニューメキシコの自然が、画家の後期の絵の核となった。多色の土の色の崖が、うちつづく丘が、峡谷が、聖なる青い山が、砂漠の白骨化した動物の骨が、チョウセンアサガオが、壁に立てかけた梯子が、黒い扉が、絵の中に入った。それらは、アメリカンモダンアートの象徴とされている。

オキーフのふたつの家を詳細に語った文章は、本書以前に存在していない。ジョージア・キーフ美術館の学芸員バーバラ・ビューラー・ラインズと、オキーフの家に住み、オキーフの死まで傍らに仕えたアガピタ・ジュディ・ロペスが、オキーフの日々を生き生きと伝えている。サンタフェ(ニューメキシコ州)にあるジョージア・オキーフ美術館はこのふたつの家を所有することになった。オキーフの制作の道具と収集品、数百点を超えるオキーフの絵画、さらにはアビキューの家を修復したマリア・チャボットとオキーフの往復書簡も所蔵している。

アドービ(日干し煉瓦)建築に関するスピアーズの文章は広範にわたっていて興味深い。巻末の付記には、廃屋アビキューの家の修復に使用された建築材料がほとんど載っている。大がかりな修復工事に関わった大勢の顔ぶれも解る。

近年撮った写真はオキーフ没年の家の姿を伝えている。生前に名だたる写真家達がふたつの家に居るオキーフを撮った。キッチンでスープを煮ている、アトリエでイーゼルの絵の前にいる、アビキューの菜園で収穫している、チャウチャウ犬と戯れている、音楽を聴いている、友人をもてなしているオキーフを。

オキーフの絵画もかなりの数が載っている。「わたしの住む家」、「パティオ」、「赤い黄色い崖、ゴーストランチ」「鹿の頭骨とペデナル山」、「白いパティオと赤い扉」、「月へ行く梯子」、「ホアンといる一日」、「雲の上の空」など。

本書は、優れた写真を多く載せて文章を短く添えて、オキーフがニューメキシコのふたつの家を終の住処に選んだ後半生を初めて見事に物語ってみせた。ふたつの家がそれぞれいかにオキーフの魂と芸術活動を充足させていったか。さらには土と木の建築であるアドービの家を、アメリカモダニストの審美眼と彼女の抱く人生観がいかに新たなる家に甦らせたか、強く訴える本である。オキーフの言葉を借りるなら、「この家もわたしが人生で行ったおかしなことのひとつです」。オキーフは人生観のひとつを、家という形に作り上げてみせたのだ。
書籍帯文章より引用