本編動画:多摩美術大学のプロセスデザイン講義
栗林和明さんのプロフィール(wikipedeiaより抜粋)
栗林和明(くりばやし かずあき、1987年 – )は、日本のクリエイティブディレクター、プランナー、プロデューサー。CHOCOLATE Inc.チーフコンテンツオフィサーをつとめる。
1987年生まれ。2011年3月に上智大学経営学科卒業後、博報堂へ入社。
その後、TBWAHAKUHODOにて手がけた作品が話題となり、カンヌライオンズ、スパイクスアジア、メディア芸術祭、ACCなど、国内外のアワードで、60以上の受賞。JAAAクリエイターオブザイヤー最年少メダリストとなる。米誌Ad Age「40 under 40(世界で活躍する40歳以下の40人)」で、アジアから唯一選出される。
2017年に同社を退社し、CHOCOLATE Inc.に参戦。
仕事は、プランナーとしてソーシャルコンテンツの分解と仮説・制作
プランナーとしてソーシャルコンテンツの分解を行う。お金や広告費をかけなくても知恵次第で何千万人にも届くものになったり、ユーザー自身が何十万、百万人がシェアしてくれたりとか、はたまた広告や映画領域で賞をもらったりとか、そういう嬉しいことが制作の中であった。
動画中要約
見たことない、たのしみなものを作り出すにはある一つのことに集中すべきだと。それが「つくり方」をデザインするということ。つくり方そのものをどうつくるかということ。
例えば、佐藤雅彦さんの事例で「♪ドンタコスったらドンタコス」「♪ポリンキー ポリンキー 三角形の秘密はね」「♪スコーン スコーン 湖池屋スコーン」といったCMはみなさんご存知だと思いますが、これをなんでみんなが覚えているかと言えば「音」が重要なのではないか?と。発明としては「音から考えるCM」ということであって、普通CMをつくるとしたら「どんな映像にするか?」「どんなコピーにするか?」「どんなタレントにするか?」「どんなロケ地にするか?」「どんなメディアがあるか?」という要素があるけど、これらの優先順位をあとにして「どんな音にするか?」からはじめたという話があります。それは、佐藤雅彦さんが音が最も重要であるという仮説のもとつくられたからである。これによって、佐藤雅彦さんはCMのつくりかたをまるっと変えた。そして、今世の中の環境が劇的に変わっているからこそ「つくりかたを変えるチャンス」が膨大に眠っていて、それを把握しておくことで、新につくりいものをつくれるんじゃないか?という考えに至りました。
動画中から要約 / 画像はスクリーンショットさせていただきました
佐藤雅彦さんの著作はこちら
事例であがっていた3つの動画は湖池屋のyoutubeに上がっていたので共有します。
※湖池屋の商品(amazon)
「つくり方」をつくる3つのステップ
つくりかたをつくるというのは、どういうことなのか?僕の中には、3つのステップがあって、1つくりかたを分解し、2すべてを疑ってみる、3何か一つを極端に変える。このようなやり方を行なっています。
動画内より要約
この3つのステップを踏まえた上で発見したケースを5つ紹介します。
1_数字でつくる:事例アメフト椅子取りゲーム、鳥取県のカニ
1_数字でつくる:ソーシャルメディアでいいねや、シェアが数字で可視化された。かわいい猫の動画が、巨匠がつくった制作費をかけた動画を凌駕する事例もでてきた。これはメディア環境によるもの。そうなったときに、今までクリエイターの主観で考えていた「おもしろさ」というものの判断ってどこまで正しいのだろうか?というのが最初に私が疑ったところ。逆に個人の主観というものを捨てて、客観的な数字が証明した数字を起点に考えたらどんなものが生み出されるだろうか?ということを考えてつくった「つくり方」ですが、何をしたかというと、当時出ていたyoutubeコンテンツというものの、数字だけ見て、伸びているものだけを分析してみた。
本文中より要約
これで何がわかったかというと、共通する「おもしろさ」が見えたということ。
世の中に広まっている用途しては、明らかに「普遍性があるな」と。例えば音がなくてもわかるとか、身体的な動きでわかるとか。あとは明らかに議論を生みやすいもの。議論を創出するものが広まってるなとか、予想外の展開がどれだけつまっているか?とか、共感性だとか、見てすぐ反応できるとか、一言で言い表せるとか、そういう共通点があることがわかった。
本文中より要約
それ以外にも、全部入ってる訳ではないが「切り口」、こういう切り口だと広がりやすい、反応しやすいというもの。例えば先ほど話した猫。それが、ツイッターだとこういう要素、Facebookだとこういう要素といったように、メディア毎で少し切り口が違うことが言語化することでわかってきました。(事例でCClemonの忍者女子高生のCMがあるが、youtubeには違法アップロードのものしかないから掲載できず。viceでメイキングのインタビューあったので貼っときます。本編では映像少し解説されているので、見てみてください。)
本文中より要約
あとは、3000円で3000万人に届けるということを考えたアイデアがこちら。
ノジマ相模原ライズ / アメフト選手が椅子取りゲームをする
鳥取県のプロモーションで蟹を浮かした。どれだけ予想外の展開を詰め込むか。まず1匹浮かせて、2匹浮かせて、上下にも動いて、横にもいくみたいな。これ鳥取県のプロモーションになにもなってないじゃない!という意見があるが、これは絶対に話題になるからテレビが紹介したくなる。そして、その時にはじめてこれが鳥取県の映像だということがわかるという設計です。
このように、何かを徹底的に疑ってみると、いろいろつくり方の違いがあると。
本文中より要約
2_反射でつくる_幸せのハーゲンハート
本当に時間って必要か?ということを伺った。時間をかければかけるほど、興味を持ってもらうわけではない。では、みんなが興味を持っていることを収集研究して、それに乗っかればいのではないか?という仮説を立てた。世の中の興味をずっとみていた。
ハーゲンダッツの窪みがハートに見えませんか?という本当に小さな話題があがっていた。それを公式の企業が、幸せのハーゲンハート探しという形で反応してコミュニケーションとったらどうなるか?と。それをやったら、めちゃくちゃ広まった。
動画内要約
3_制限してつくる
16:9の映像作品は本当に重要なのか?ということを疑う。テレビとか映画がこの比率でつくっていたが、2015年ころからスマホ普及率が50%を超えてきた。じゃあ、あえてテレビじゃなくて、スマホだけで面白く見れるコンテンツをつくる。スマホが乗っ取られたような感覚になるミュージックビデオをつくる。(下記)
動画内要約
RUN and RUN / lyrical school 【MV for Smartphone】
徹底的につくり、スマホじゃないと楽しめないんですが、あえてそっちに振り切ることでみたことないものをつくったという事例。あとは、制限したところが機材で普通は、いいミュージックビデオをつくろうと思ったら、いい機材を使いますが、これはスマホしか使っていない。そうすることで、スマホらしいMVができた。そして、色んな人に届いた。
動画内要約
4_失敗前提でつくる
ヒットを前提としたら狙いすぎて面白くならない。ではヒットしなくてもいいという前提の場をつくれたら?という仮説のもとやってみた。6秒商店。こんな商品あったらおもしろいよねという仮説のもと適当につくったやつ。下記の動画は30万人くらいに届いた。
動画内要約
魔法の力に見えるワイヤレス充電器をつくりました #6秒商店 pic.twitter.com/JhVxLd2B0W
— 6secShop/6秒商店 (@6sec_shop) September 28, 2018
5_越境してつくる
世界的大作映画をつくりたかったらハリウッドの精鋭達を集結すべき。ジャンプから名作を出したかったら素晴らしい才能の漫画家と敏腕編集者がタッグを組むべき。こうやって、その業界には、その業界に知恵が蓄積している。それは、縦割りで情報とノウハウが蓄積している。それを越境し知恵の交差点をつくったらどうなるのか?例えば映画関係者がいない現場で映画をつくったらどうなるのか?という仮説のもとつくってみたのがこちら。Vlog映画。5000万回再生(中国含め)、実はデカビタCがスポンサーしている。
動画内要約
もう限界。無理。逃げ出したい。 / あさぎーにょ
ただ、肝に銘じておかなければならないのは、新しいものが面白いものとは限らないし、新しくても、一瞬で忘れ去られてしまうものがたくさんある。
動画内要約
まとめ:つくりかたをつくる力を身につけていくには?
1_今の作りかたを分解する:とにかく細かく分解して分析する
動画内要約
2_すべて疑ってみる:全て疑ってみて、つくった仮説を信じきる
3_何か一つを極端に変える:仮説を持って、どこを変えるべきか精度を上げる
感想
めちゃくちゃ勉強になった。人はすぐ予算や枠組み、うまくいったルーティンを頼って、同じやり方でつくろうとする癖がある。そのくせから脱却する技ともいっていい講義だと思う。時代の流れに目を配りながら一つ一つ分解して、再構築していくプロセスは素晴らしいと感じた。
関連する本など
佐藤雅彦著作
バズる-写真編集術/玄光社MOOK/中瀬雄登
美しく「バズる」技術-誰も教えてくれなかった本当のSNSマーケティングの教科書/青木創士
必ずバズる!TikTok-本当に稼げるTikTokの使い方/しずく社長