【動画】世の中に捨てられたものに価値を見出し、次の世代につないでいく。株式会社ReBuilding Center JAPAN 代表取締役 東野唯史さん / 山水郷チャンネル #92

山水郷チャンネル #92 東野唯史さん

プロフィール:東野 唯史

ゲスト:東野 唯史(あずの ただふみ) 
株式会社ReBuilding Center JAPAN 代表取締役 1984年生まれ。名古屋市立大学芸術工学部卒。 2014年より空間デザインユニットmedicalaとして妻の華南子と活動開始。全国で数ヶ月ごとに仮暮らしをしながら「いい空間」をつくりつづけてきました。 2016年秋、地域資源のリユースショップReBuilding Center JAPANを長野県諏訪市に設立。ReBuild New Cultureを理念に掲げ、次の世代に繋いでいきたいモノと文化を掬いあげ、再構築し、楽しくたくましく生きていける、これからの景色をデザインしていきます。 2022年に株式会社すわエリアリノベーション社設立。諏訪エリアの健やかな循環のある経済圏の構築を目指していきます。 2018年環境省グッドライフアワード環境地域ブランディング賞受賞 2018年パッシブハウスジャパン エコハウスアワード リノベーション賞 2019年グッドデザイン賞ベスト100 2020年DIA TOP100 名古屋市立大学芸術工学部非常勤講師

ホスト1: 井上岳一  山水郷ディレクター/株式会社日本総合研究所 創発戦略センター エクスパート/武蔵野美術大学 客員研究員 東京大学農学部卒業。Yale大学修士(経済学)。林野庁、CassinaIXCを経て現職。「人口減少時代を生き抜く地域社会のデザイン」をミッションに、官民双方の水先案内人としてインキュベーション活動に従事。内閣府規制改革会議専門委員。南相馬市復興アドバイザー。 「山水郷」の復権を説いた『日本列島回復論-この国で生き続けるために-新潮選書』(新潮選書)を2019年10月に上梓。

ホスト2:藤崎圭一郎 デザイン評論家 / 編集者・東京藝術大学 教授 1963年生まれ。『雑誌-デザインの現場』編集長を務めた後に、フリーランスとしてデザインに関する記事の執筆、雑誌・書籍の編集に携わる。 主な著書に広告デザイン会社ドラフトの仕事を取材した『デザインするな/宮田識-藤崎圭一郎』。雑誌『AXIS』にて生命科学を中心にサイエンスや工学の研究の現場を取材する「Sci Tech File」を連載中。 2010年より東京藝術大学美術学部デザイン科准教授、2016年より同大学教授。

リビセンのビジネスモデルについて

(井上)僕は元々林業や森のことをやってきた訳ですけど、森は価値がなくなっちゃったと言われていて、それを炭素とかで価値化しようとはしているんですが、価値がなくなったものを、もう一回どうやって価値をつけていくのか?ということ。本当は価値があるのに、経済のシステムの中では価値がないように思われしまうというものを、なんとかしたいという時に「古材」というものに目を向けて、それを「レスキュー」という言葉で楽しく、逞しく価値を見出し、それが町を変えていくところまでやっているのはすごいなと思っています。まずは、リビセンが何をやってるかをプレゼンいただけたら。

(東野:以下全て)東京の蔵前にあるnuiというホテルが処女作で代表作です。ここから、全国友人がUターンで戻ったりして、ゲストハウスをつくるときに、手伝っててんてんとしていたという感じです。

リビセンの事業はレスキューと言われる不要な物のお引き取りからはじまるので、何はともあれレスキューがないと、売る物もないしお金も稼げないという状況になります。レスキューとは「世の中に捨てられたものに価値を見出し、次の世代につないでいく。」という風に定義しています。普通の不動産屋さんや、古材屋さんと違い変わっているところは、家主さんから直接レスキューの依頼をいただくというのが9割という点です。そういう風なやり方をしていると、ただものを引き取るだけでなく家主さんの気持ちみたいなものをレスキューできているということに気づきました。これは、みんな捨てたいから捨ててる訳でもなく、解体したくて解体している訳でもなく、どうしようもない事情がみなさん抱えていて、泣く泣く手放すという。そういう現場に我々がいって「次の人につなぎますね。」って。

これを、仕組み化したいなと思って、レスキューナンバー、レスキューカルテ、レスキューレターというものをつくっていて、例えば食器一つとっても何丁目何番地、誰々さんのお家からレスキューしたものだというのはわかりデータベースとなっています。

商品もつくったりしていて、付加価値化を試みてます。価値化するのが6次産業化みたいなものだなと思っていて、レスキューに向かうのが収穫、洗ったり加工したりで2次加工して、自社で販売するのでまとめて6次産業化だと思っています。これは何かというと、仕入れを安く抑えることで、付加価値をつけて販売するということで、売上の中に占める人件費率を高めていき雇用を生みやすいビジネスモデルにしているということができると思っています。

空間デザインもこんな感じでやっています。昔はインダストリアルデザインが流行ってたので、古材を使いたいと言う人が多かったが、最近は環境負荷が低いから古材を使いたいということが多いです。我々も環境負荷を減らすために古材を使いたいと思っていたので、ようやく社会のニーズが追いついてきたなという感じです。

リビセン、毎年500件以上レスキューにいって、オープンして2500件以上レスキューに行っています。でも、日本の空き家多いので、僕らがレスキューしても全然足りないんですね。社会的インパクトも全然少ないし、僕らが従業員100倍とかになったとしても全然大したことないので、このノウハウを広げることで全国に広がる古材屋さんをやっていくようなイメージを持っています。

具体的に言うと、サポーターズというボランティアに参加してもらえれば、レスキューの仕方や古材の値付けの仕方とか、いろんなことを教えることができるし、伴奏形式でサポーテッドバイリビセンという形で創業支援のようなこともやっています。

最近の仕組みで一番効果的かなと思ったのは「リビセンみたいなおみせやるぞスクール」という2伯3日の合宿形式のスクールを開催すると。そこでは決算書を見せるとか、レスキューのノウハウとか、どの道具を使ったら効率がいいよとか、そういうことを包み隠さず教えて、いろんな人たちがリビセンのようなお店を地域でやりたい人たちが、最初に悩むであろう課題を解決していくという。あとは、これの卒業生としてネットワークするオンラインコミュニティをつくっていくんですが、そこで、その時の悩みを相談でき解決できるような仕組みをつくっていきたいなと思っています。

リビセンは、空き家の情報をレスキュー依頼という形でいただくことが多いんですが、空き家をレスキュー先というだけでなく建物まるごとレスキューじゃないですが、リノベーションして活用するみたいな方向性も模索していて、リビセンから徒歩5分圏内の空き家を積極的に活用するという取り組みをやっています。ここの数年で9件くらいお店が増えて、楽しくなってきたぞという感じです。

最近は、諏訪信用金庫とまちづくり会社「株式会社すわエリアリノベーション社」もつくっている。

すわリノがここの物件を持ってる不動産屋(サンケイ)さんからマスターリースをして、この資金を使ってリビセンが工事をして、信金さんからお金を借りて、サブリースかけてくみたいな。SUWAの未来は地域応援ファンド。資金はこのファンド(5年の社債)と信用金庫の出資の2本で成り立ってる。

普通にカフェとか入ると1000万くらいかかっちゃうんですが、それをA工事まで終わっているような物件に入れば借入費用がおさえられるので、単純なキャッシュフローベースでいうと、事業主にも結構メリットがあると。

今一棟改修している物件がこちら。1Fに5区画あって、4区画が店舗で、1区画がコーヒーの焙煎室です。2階は5つのオフィスが入るスペースになります。2階は全てうまって、1階は2区画埋まってあと3つをこれからやってくぞという感じです。

今までの活動のざっくりした流れ。ここからは諏訪エリアの市も含めたエリアリノベーションの話が続く。

感想、おすすめ本

地域の中に眠っている、価値が低く見積もられているけど、付加価値がつけれそうな領域というものは必ずある。「古材」というものがその一つで、今までは閉じられた世界だった。古物商を取得し、どくとくの商習慣と、人脈のネットワークで行われることが多いが、それを開きながらやってきているリビルディングセンターはとても面白い取り組みだと思う。自分も建築出身だからこんなことやりたいなーと思っていた時期ももちろんある。古物商も一度取得したことがある。これを、ちゃんと仕組みにしているリビルディングセンターさん素晴らしい。

また、この山水郷チャンネルは、地域の面白い人たちをyoutubeにまとめているので、ぜひ見てみてほしい。自分も前に一度出演。

下記は、取り組みと本の紹介。

個人的には東京R不動産みたいな不動産的な領域、創造系不動産みたいなディベロッパーと建築家と不動産の間の領域、リビセンみたいに解体と立ち会いその古材を流通させていく領域。いろんなタイプがあって面白いなと思う。古民家のリノベーションで不動産価値をあげて販売みたいな儲かる-空き家・古家不動産投資入門/三木章裕もでてきて、どういう解が地域にとって適切なのか、商いとして持続可能なのか?が問われている時代だなと思う。

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