




うなぎの寝床
久留米絣のズレを設計したアート
出島が開いて、オランダと九州が国交400周年を迎える時にholland-kyushuという動きがあった。オランダ大使館のバスさんと何故か縁があり交流があったり、佐賀県がオランダと取り組みをしてたりという背景から、オランダのクリエイターと九州の伝統工芸をつなげて一緒に作品をつくり、オランダのDutch Designweek(ダッチデザインウイーク)で展示をしよう!という話になり取り組んだ。
オランダ人のニルス・ヘイマンス、フランス人のエミリ・パラール 、日本人の篠田真紀子さん、この3人と共に福岡県南部の伝統工芸である久留米絣をテーマに取り組むことになった。僕らは、まず久留米絣の工程を見てもらった。しかし、全ての工程を見てもらうことは不可能なので、動画に撮影して日英の字幕をつけて、それをyoutubeに公開して振り返るような機能をつくった。この動画は今も役にたっている。(下部に動画のリンクを貼っている)
ニルスが3DCGを使って、たていとと、よこいとのパターンがずっとずれ続ける久留米絣のシュミレーションをつくってきてくれた。柄がきっちり合うのではなく、たてとよこの柄が合ったり、合わなかったりする模様をつくる。久留米絣の製造プロセスを知らない人からすると、チンプンカンプンだと思うが、これは織元には思いつかないとても面白い発想だ。それにチャレンジしてみることにした。
色はエミリの担当。感性がとても豊かですばらしい。彼女は日本を回ってきた中で、コンクリートの色や、自然の色や、ビニールの色、いろんな色をサンプリングしてきて、それを16色だったか?にわけて、そこから色をつくっていった。よこ糸をさまざまな色に染め分けて、テキスタイルの色を構築していった。
展示は、オランダのアイントホーヘンのVan Abbemuseum(ファンアベミュージアム)で行った。久留米絣の織元である下川織物さんの2Fで仕上がった布を干す段階からインスピレーションをうけ、都市と地域の間という意味も含めて、パイプと竹を組み合わせ、糸は久留米絣のプロセスででる糸を使った。美しいインスタレーションとなった。
オランダのクリエイティビティ、コンセプトをつくりこむ能力と、下川織物の技術力・チャレンジ精神があったからこそできたプロジェクトだと思っている。とてもよいプロジェクトとなった。